キネマ探偵カレイドミステリー(斜線堂有紀)

「第一話 逢縁奇縁のパラダイス座(ニュー・シネマ・パラダイス)」「第二話 断崖絶壁の劇場演説(独裁者)」「第三話 不可能密室の幽霊少女(ブレア・フィッチ・プロジェクト)」「第四話 一期一会のカーテンコール(セブン)」

英知大学は入試はもちろん定期試験も大変なことで有名な大学だ。その大学のドイツ文学科に在籍する奈緒崎は留年に危機に瀕死、高畑教授から呼び出しを喰らう。曰く、一学年上の主席入学者だった現在不登校中(引きこもり中)の嗄井戸を学校へ戻すことができたら留年を取り消し進級させてくれると言う。そのようにして奈緒崎は下北沢に住む嗄井戸の自宅へ向かう。そこにいたのは髪が真っ白な映画フリークの男の子で……

いやあ読みやすくてハートウォーミングでとてもよかった。嗄井戸から告白される事実が淡々としていてサラッと読めて読書の気分を邪魔しない。第一話から第四話まであるので一つ一つの物語が短くて流れが早くて読みやすい。ミステリーだけどあっさり解決するので重たくない。第四話「一期一会のカーテンコール」はとてもよかった。本当はこれだけで長編一本書け得そうだけど。
第一話から第四話まで、それぞれ実在の映画になぞらえてというか、それを下敷きというのか、まあそのネタで描かれるので、映画を知っている方がきっとより楽しめる。