本の背骨が最後に残る(斜線堂有紀)

「本の背骨が最後に残る」「死して屍知る者無し」「ドッペルイェーガー」「痛妃婚姻譚」「『金魚姫の物語』」、「デウス・エクス・セラピー」「本は背骨が最初に形成(でき)る」からなる短編集。

いやーよかった。物理本が無くなり物語を語る人が「本」となる。それぞれの本が異なったことを言う場合、「版重ね」という勝負を行う。という表題作は設定がぶっとんでいて、描写が半端なくて、まさに手に汗握る物語だった。

個人的にはこの表題作と、「死して屍知る者無し」がすごいよかった。「死して〜」はあるコミューンの話。ここでは人は病気や怪我で予後不良となると転化して好きな動物となることができる。あるとき主人公くいの好きな人が川に流されて…っていうところから展開していくのだけれど、最後の2段落が見事だった。そうなんだよな。

というか斜線堂の短編集すごいな。以前と比べると格段に文章もうまくなっているし、話もしっかりしているし、読んでいて唸ることが増えた。こんな力つける???すごいよ斜線堂。設定も本当よく思いついて、そこから無理なくしかし必要な箇所では飛躍して展開して。いやー一生ついていくわ。