2、3日、さくらももこをひたすら読んだ。
さくらももこは知能が明らかに高く、深い洞察力と並外れた記憶力で文章を構成していく。これは見事としか言えない。
個人的に好きなのは「ひとりずもう」。思春期編だ。これは一読の価値がある。どういうふうに過ごしてきて、どこで切り替えて、どんな努力をしてきたのか。自分も頑張ろうという気持ちになる、夢とかないけど笑
技術が発展し、過去の記憶を消したり、架空の記憶「義憶」を埋め込んだりすることができるようになる。主人公の父親も、義憶の中にだけ存在する義者を妻として愛し、母親は主人公の他に4人の子どもを持った。19歳になった主人公は、あるとき記憶を消す「レーテ」を買うことにした。それまでの人生に何もなかったから、いっそすべてを忘れようと思ったのだ。しかし業者の手違いがあって、義憶を植え付ける「グリーングリーン」を飲んでしまう。それ以来、主人公には、記憶の中にだけいる幼馴染がいて……
いやこれとてもよかった。前作は「ジェネリック・村上春樹」で完コピすごいって感じの凄さだったんだけど、今作は文体も個性がきちんと入っていてよかった。この人、設定を作って物語を展開するのだけれど、この義憶って技術はすごいと思った。SF界では定番なのかもしれないけど。
でまあその技術だけが未来であとは現代として読めるのでSF読めない人も読めるようにできてる。でもやっぱ村上春樹を好きなんだろうなとは思った。村上春樹はこの先新刊も出ないだろうし、初期から中期の雰囲気を残したこの作家がいてくれれば、まだまだあの空気感を楽しめるのかもなと思った。
お見事でした。
第三部。
「第一話 逆光無効のトライアンフ(バック・トゥ・ザ・ヒューチャー)」「第二話 依然必然のアクチュアリー(ラブ・アクチュアリー)」「第三話 輪転不変のフォールアウト(俺たちに明日はない)」
第一部第二部はこちら。
nagakutemijikaiinu.hatenablog.com
nagakutemijikaiinu.hatenablog.com
いよいよ大詰め!内容は読んでくれ。
結構リアルに想像すると苦しい内容が続く。けど面白かったー。解決編が最高だった。奈緒崎がまじでいいキャラしてる。嗄井戸も最高だよー。
斜線堂の人間観は、多分舞城に通づるものがあって、だからすごく好きなんだろうわたし。
カレイドミステリー第二部。
「第一話 再演奇縁のオーバーラップ(スタンド・バイ・ミー)」「第二話 自縄自爆のパステルステップ(アーティスト)」「第三話 正誤判定のトレジャーハント(バグダッド・カフェ)」
第一部はこちら。
nagakutemijikaiinu.hatenablog.com
留年云々は解決しなかったが、結局仲良くなった奈緒崎と嗄井戸が、またまた映画にちなんだ事件を解決していく。そして徐々に明らかになっていく嗄井戸の過去と闇。揺れ動く真実……
いやーよかった。連作短編なので一つ一つの謎解きまでの時間が短くてテンポがよい。ミステリ云々というよりも心温まる友情のストーリーになっていて、ミステリ好きには物足りないかもしれないが、読みやすくて非常に良い。ラストが第三部に続く。即座に次作を読まなければならない。
児童書。ミステリの入門書。
陸、美鈴ちゃん、天馬くんの3人は、小学校の一角に部室を作り、放課後ミステリクラブと称して時間を過ごしていた。あるとき、プールの授業が中止となる。プールに金魚が泳いでいたせいだ。真理子先生に依頼され、天馬くんはその謎を解くことにした。そして3人は一緒に縁日に繰り出し……
謎が小学生らしくて可愛い。わたしはミステリを読むとき誰が犯人だとかどんなトリックだとかを自分で謎解きしないので、今回もそのまま読んだ。この謎自分で辿り着くだろうか……とか思ってしまった小学校低学年向けの本なのに笑。
読みやすいし、身近な題材なので、本当に小学校2〜4年生くらいで読むと、ミステリ好きに育っていくのかも。